ブランチャード&サマーズ『進化か革命か:マクロ経済政策再考』
投資をするうえでマクロ経済政策(金融政策や財政政策)の動向をウォッチする必要がありますよね。
いまマクロ経済政策の考え方が大きく変わろうとしています。以下URL参照。
これはブランチャードとサマーズが編集した本『進化か革命か:グレートリセッション後のマクロ経済政策再考』を紹介する記事です。
ブランシャールもサマーズもマクロ経済学界の超・大御所です。
そんな二人が年甲斐もなく「革命だぁぁぁ!」と騒ぐ本を出したのです。
彼らの主張の要点は「これから財政赤字を拡大させるような政策をマジで再登場させるぜ」というものです。
財政政策については、現代貨幣理論(MMT)なるものが最近話題になっています。
MMTの主張内容はよく知らんのですが、要するに
「財政赤字を垂れ流しても大丈夫!」
という主張のようです。
MMTが取り上げられるときは大抵批判的に扱われます。
FRBパウエル議長も日銀黒田総裁もMMTを名指しで批判しました。
今月に入ってからメディアでMMTを取りあげて批判する記事が多いように思えます。
MMTの主張とブランチャード&サマーズの主張は似ています。
というか結論だけみれば同じものです。
違うのは主張の仕方です。
MMTの方法論は悪く言えば「お喋り」の延長でしかありません。
それがもっともな主張なのかダメな主張なのか判断しにくいのです。
ブランチャード&サマーズの主張は背後にマクロ経済モデルがあります。
モデルによる説明はとてもクリアです。
それと、主張者の社会的地位が全然違います。
経済学界において、MMTが非主流派・異端派であるのに対し、ブランチャード&サマーズは主流派のど真ん中に位置しています。
政府や中央銀行や国際機関に対する影響力も段違いです。
私の想像によると最近のMMT批判はダミーです。
本当はブランチャードやサマーズの政策提言にもとづく財政拡大政策を各国で検討している最中かもしれません。
その間、ブランチャード&サマーズの積極財政論に似て非なるMMTを叩いているのではなかろうかと思います。
ブランチャード&サマーズの主張の要点をコラム(上記リンク先)から引用します。
中立金利がさらに低くなったり、金融規制が不十分で危機を防げないことが明らかになったりした場合は、もっと劇的な対策が必要になる。すなわち、財政赤字の拡大、金融政策目標の修正、金融システム規制の厳格化などが必要になる。これは革命だと思ってくれ。時間がたてば分かる。(Think of this as revolution. Time will tell.)
(翻訳と太字は引用者)
二人とも良い歳だろうに熱い語りです。革命運動世代なのかしら。
「時間がたてば分かる」ていうことは政策当局を説き伏せる自信があるということだ思うのです。
ブランチャード&サマーズ流の財政拡大政策を各国がバシバシ出してくると株価が爆上げすること間違いなしです。
今月の株価は軟調ですが、むしろ今こそ買い時だと思います。